今回は、前から試してみたかった「3Dモデルのまぶたをボーンで作る」という方法をBlenderでやってみたので作り方を記事にまとめました。
眼球が球体のモデルの場合、まぶたの動きをシェイプキーで作ると頂点の直線移動のせいでまぶたを眼球が貫通してしまうことがあります。
まぶたをボーンで作ると眼球に沿う動きを作れるので、この問題を回避することができます。
またボーンにすると複雑な目の表情を作れるので、その点でもオススメです!
今回の記事は下記を参考にしつつ、Blenderで作る方法を考えてみたものです。
https://area.autodesk.jp/column/tutorial/character_arpeggio/01_modeling
もくじ
3Dモデルのポイント
ボーンまぶたは基本的に、アニメ寄り造形よりリアル寄り造形の方が向いていると思います。
特に以下のような感じだと作りやすいかなと思います。
- 目が真球(にできるだけ近い)
- まぶたは真球に沿うようになっている
- 目の周りのメッシュは円が重なったようになっている
- 目の周りに極端に複雑な造形はない
- 目はY軸にまっすぐ前を向いている(と作業がしやすいです…)

今回はテスト用に見やすくこんな感じのモデルを作ってみました。
なお、まぶたボーンを入れる作業をした後で頂点を動かすと崩れやすいので、形は確定させてから進めるのが良いかなと思います。
ボーンを入れる
まず下準備として、モデルには頭ボーンがあると思うので目の周り全体のウェイトを頭ボーンで塗っておきます。
頭ボーンの子としてまぶたボーンを作り、親との接続は切って眼球の中心からY軸手前方向を向くように配置します。
次に、このまぶたボーンとぴったり重なるように水平な平面を置きます。
これはガイド用なので、目の横幅より少し大きいくらいのサイズであれば大丈夫です。

ポーズモードでまぶたボーンの位置を動かしたいので、まず平面のウェイトをまぶたボーン100%で塗ります。
ウェイトが塗れたらポーズモードで位置調整します。まず、まぶたの回転軸を目頭と目じりに合わせる作業をします。
ボーンをY軸のみで回転させ、先ほど作った平面がモデルの目頭と目じりを通るようにします。(Rキー→YキーでY軸のみの回転をすればOKです)

上下の位置が合わない場合は、とりあえず平面が目頭と目尻を結んだラインと平行になるようにすればOKです。
次に、ボーンのローカルX軸回転だけを操作して上まぶたに合わせます。
この際、通常のRキー→Xキーの回転ではボーンのローカルX軸だけの回転が出来ないので「Rキー→Xキー→Xキー」と2回押してローカル軸で回転させます。

なぜX軸のみで動かす状態をキープするのかというと、X軸以外の回転でまぶたに表情がつくような動きになるため、一番表情のない閉じ目を分かりやすい回転の数値で作っておきたいからです。
きれいに配置できたら、ここでガイド用の平面は消してしまって大丈夫です。
その後ポーズの変更を固定します。
ポーズモードでボーンを選択して「ポーズ」→「適用」→「レストポーズとして適用」を実行します。
ウェイト塗り
ウェイト塗りは「自動正規化」をオンにして、頭ボーンとまぶたボーンの間でウェイトが割り振られるようにすると良いかなと思います。
まず上まぶたのふち(目頭と目じりは除く)をまぶたボーン100%で塗ります。

ポーズモードに移り、先ほどと同様にRキー→Xキー→XキーでボーンのX回転だけを操作してまぶたを閉じたい角度まで動かします。
実際閉じたい角度を少しオーバーするくらいにすると良いかもしれません。

ウェイトペイントモードに戻り、強さ0.05くらいの弱めのブラシを使ってまぶたのウェイトを少しずつ頭のボーンに割り当てて形を調整します。
まぶたの閉じたラインは頭ボーンとまぶたボーンの割り当ての強さで形状を作っていくことになります。

閉じたラインが完成したら、まぶたの上の方もまぶたボーンにウェイトを少しずつ割り当てて形を整えます。

出来上がり
これは上まぶたを作っただけですが、ボーンを回転させるだけで色々な目の表情を作れるのが魅力です!
今回の例では省略しましたが、下まぶたも作った方が良いかなと思います。
下まぶたもボーンのX軸の角度を合わせる前までは同じ作業で良いので、その時点でボーンをコピーすれば良いかなと思います。
【2024.12.29追記】
上下まぶたボーン・あごボーン・シェイプキーを制作する動画をyoutubeに投稿したので、よかったらこちらも見てみてください!
手順やモデリングの要点などもまとめています。うまくいかなくて悩んでいる部分も分かります…。